三嶋隆夫物語

いい素材と出合い、おいしいお菓子を作る。
それが職人の仕事です。

2011年秋、フランス菓子16区は30周年を迎えます。常に真摯にお菓子と向き合い、新しい素材との出会いを重ねていく。どれだけ歳月を重ねても、三嶋の姿勢に変わりはありません。その中で、「第5回市民教育賞」の「産業教育賞」受賞や、厚生労働省の「現代の名工」受章など、その仕事を認められる出来事もありました。

いい環境でいい仕事をしてほしい。大切な社員たちへの思い
「おはよう!」「おはようございます!」 16区の朝は、三嶋とスタッフの握手から始まります。ひとりひとりの目を見ながら、大きく分厚い手で握手されたスタッフの顔には、その瞬間から「今日も頑張るぞ!」という気合が宿ります。三嶋にとって、握手にはスタッフの様子を気遣う意味もあります。「風邪を引いているんじゃないか」「顔色が良くないけれど大丈夫か」と声をかけ、体調をチェックする。そこには、親御さんから大切なお子さんたちを預かっているという責任感とともに、作り手がいい状態でないとおいしいお菓子はできないという思いがあります。4階の食堂で管理栄養士が作った献立による食事を昼夜2回出しているのも、スタッフの健康を第一に考えているためです。このような環境の中、多くの優秀なパティシエやパティシエールが育っています。

これからもお菓子ひとすじ、誇りを持って仕事をしたい
「私は元々、表彰されるような人間ではないと思っているし、実は賞にはあまり興味がないんです」。三嶋本人のそんな意思とは裏腹に、2007年6月、三嶋は次代を担う菓子職人を育成、輩出したとして、福岡市の「第5回市民教育賞」の「産業教育賞」を受賞。さらに、2007年10月には厚生労働省が各分野における「卓越した技能者」に与える「現代の名工」を受章しました。今や洋菓子の定番となった“ダックワーズ”の考案者であり、手作りや素材の鮮度に徹底してこだわったお菓子づくりへの姿勢が受章の理由です。「現代の名工は、私自身がもらったというより、私が業界を代表していただいたと思っています。これから先、よりしっかり仕事をしていかなければと思います」。職人としての功績が認められたこの受章を機に、さらに気持ちが引き締まったと言います。

常に素材ありき、から始まる16区のお菓子づくり
新しい素材と出合った時、三嶋の中でインスピレーションが湧き上がり、そこから新しいお菓子が生まれます。いい素材があると聞けば、どこへでも足を運び自分の目と舌で確かめます。ブルーベリー、栗、パッションフルーツ、パイナップル、苺、サンギーヌ、レクチエ…。数あるこだわりの素材の中でも、ウィリアミーヌという洋梨のリキュールは三嶋がフランス時代に知って惚れ込んだ超一流の銘酒です。高価で誰もが気軽に使えるお酒ではなかったため、日本に輸入されていなかった28年前、「ぜひこのお酒を使ってお菓子を作りたい」と三嶋が製造元のモーラン社に手紙を書き、スイスまで行って熱意を伝えましたが、答えは「ノン」。その後もあきらめることなく、日本の洋酒メーカーに再三頼み込み、ようやく輸入できるようになった経緯があります。このお酒を使ったチョコレート「トリュフ ウィリアム」や「タルト レクチエ」は、気品漂う香りとさわやかな風味でご好評いただいています。「常によりよい素材を探し、おいしいお菓子を追求する。それは、パリ時代の恩師である故ムッシュ・エルグワルシュ氏の教えです。この教えを心の支柱として、30年間ぶれることなくやって来た結果が、今日の16区につながっていると思います」。

見せかけだけのお菓子から本当の感動は生まれない
「このごろは物語を作り過ぎて、肝心のお菓子を店で作らず業者任せにし、パフォーマンスだけで売るパティシエが少なくありません。私は誇りを持って仕事をしたい。自信を持ってお客様にお菓子をお出ししたいのです」。
この言葉通り、いい素材を使って、手間をいとわず一から手作りすることが三嶋の信条です。たとえば、杏の種の中から取り出した杏仁を丁寧に煮出して作る杏仁プリンもそのひとつ。「多くの店がインスタントの杏仁粉を使って杏仁豆腐を作っています。それでは家庭でお母さんたちが作るお菓子と変わりありません。
私にはそれはできないし、やらない。16区の杏仁プリンを食べて、天然の香りと風味に感激されるお客様が多いのは、プロとして無上の喜びです」。
見せかけだけのお菓子から本当の感動は生まれません。だからこそ、「いい素材を探し、おいしいものを丁寧に作り、自信を持ってありがとうございましたと言ってお渡しする。それが本当のサービスだと思います」。

16区から巣立った弟子たちが、元気に活躍する喜び
2011年4月から6月中旬にかけて、新博多駅ビル「JR博多シティ」の博多阪急で、スイーツイベント〜「フランス菓子 16区」三嶋隆夫と活躍するその弟子たち〜が13週間にわたって開催されました。このイベントでは、第1週と最終週を三嶋(16区)が担当、その間の11週を弟子たちの代表作が交代で販売され好評を得ました。「お菓子の世界でこんなイベントは珍しいし、阪急さんからご提案いただいた時はうれしかったですね。16区から巣立って行った弟子たちが、自分の店を持ち、元気に仕事をしている証拠ですから」。
また、多店舗化しない16区は、「遠方に住んでいるのでお店に行けない」というお客様の声にお応えするため、時折全国のデパートへ期間限定で出店しています。
三嶋は時間の許す限りデパートの売場に立ち、接客するよう努めています。「ただお菓子を売るのではなく、直接お客様にお菓子の説明をしたいですから」。
2011年秋、16区は30周年を迎えます。「これから先も体が健康である限り、新しい素材を探して、創作意欲をかき立てていきたい。今までと同じやり方で。おいしいもの、いいものを作る。それが職人の仕事だと思っています」。秋にかけて、三嶋の気持ちが入った新作のお菓子が登場する予定です。
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市民教育賞 表彰式

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現代の名工表彰式会場(東京)にて
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カカオ豆視察のためガーナ共和国へ

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杏仁プリンの仕込み

Part.1 Part.2 Part.3 Part.4 Part.5


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